ソーシャルレンディングの仕組みや利回り、メリット・デメリットについて解説します。始める際の注意点や代表的なソーシャルレンディングサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ソーシャルレンディングとは、金銭的リターンを目的としたクラウドファンディングの一種です。少額から始められて運用に手間がかからないため、興味をもつ方は少なくありません。
今回は、ソーシャルレンディングの仕組みや利回り、メリット・デメリットについて解説します。始める際の注意点や代表的なソーシャルレンディングサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ソーシャルレンディングとは?
まずはソーシャルレンディングの仕組みや利回り、一般的なクラウドファンディングとの違いなど基礎知識をおさえておきましょう。
ソーシャルレンディングの仕組みと利回り
ソーシャルレンディングは、複数の投資家から集めた資金を、融資を希望する企業に貸し付ける仕組みです。投資家は、借入期間(運用期間)終了後に返済利息分を収益として受け取れます。
ソーシャルレンディングで期待できる利回りは、サービスや案件によって異なりますが、4.5%程度です。ファンドによっては、5〜7%と高い利回りが期待できるものもあります。
クラウドファンディングとの違い
ソーシャルレンディングは、クラウドファンディングの一種です。クラウドファンディングは大きく以下の6種類に分類され、ソーシャルレンディングは「融資型」に該当します。
- 寄付型
- 購入型
- 融資型(ソーシャルレンディング)
- 株式投資型
- ファンド型
- ふるさと納税型
一般的に広く知られるクラウドファンディングは、寄付型や購入型です。寄付型や購入型のクラウドファンディングでは、元本は返済されないことが前提で、金銭的リターンはありません。
一方ソーシャルレンディングは、出資者が金銭的リターンを得ることを目的としています。
ソーシャルレンディングが注目される理由
ソーシャルレンディングは、複数の投資家から資金を調達する手段として注目されています。
企業が資金を調達するには金融機関から融資を受けることが一般的ですが、実績の少ない新しい企業にとって、厳しい審査をクリアするのは容易ではありません。
しかし、ソーシャルレンディングの場合は、金融機関に比べて柔軟な審査基準を採用しているため、実績が少ない企業でも融資を受けやすくなっています。
また投資家にとっては、少額からの投資が可能で、比較的高い利回りを見込める点が魅力です。企業側と投資家側の双方にメリットがあることから、ソーシャルレンディングは多くの注目を集めているのです。
市場規模
矢野経済研究所が発表した調査によると、2021年度の国内クラウドファンディング市場規模は前年度比11.1%減の1,642億円でした。
ファンド型や株式型などは安定した増加が見られる一方、ソーシャルレンディング市場は、2017~2018年に相次いだ行政処分により低迷が続いています。
しかし、規制強化による業界の健全化や適正化の進展、新規参入効果によって、今後は市場回復が予測されています。
参考:国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2022年)| 矢野経済研究所
ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングの主なメリットは以下の3点です。
- 小額から投資できる
- 比較的高い利回りを期待できる
- 運用の手間がかからない
それぞれ詳しく解説します。
小額から投資できる
ソーシャルレンディングの魅力は、少額から投資できることです。
現物不動産投資では数千万円、株式投資では数十万~数百万円単位で資金が必要になることもありますが、ソーシャルレンディングなら1万円と少額から投資に参加できます。サービスによっては短期間で投資できるものもあり、まとまった資金がない方でも始めやすいでしょう。
比較的高い利回りを期待できる
ソーシャルレンディングは、一般的な預貯金や国債と比較して高い利回りを期待できる点が魅力です。
たとえば、メガバンクの定期金利は0.001〜0.002%程度、日本の10年国債の利回りは0.571%(2024年1月15日時点)なのに対し、ソーシャルレンディングでは平均して4.5%ほどの利回りが見込めます。ファンドによってはさらに高利回りになるケースもあり、銀行預金や国債の金利と比較するとハイリターンを期待できるでしょう。
ただし、ソーシャルレンディングの利回りは確約されたものではありません。運用状況に応じて変更になるリスクも考慮しておく必要があります。
運用の手間がかからない
運用に手間がかからないこともソーシャルレンディングのメリットです。
ソーシャルレンディングは元本の価格変動がなく、予定利回りがあらかじめ決まっているため、株式投資やFXのように投資後の情報収集が必要ありません。
一度投資を行えば、企業が収益を上げるまで、投資家はとくに何もする必要がないため、日々の値動きに一喜一憂したくないという方に向いているでしょう。
ソーシャルレンディングのデメリット・リスク
ソーシャルレンディングに失敗しないためにも、以下4点のデメリットもおさえておく必要があります。
- 貸し倒れや返済遅延のリスクがある
- ソーシャルレンディング事業者の倒産リスクがある
- 運用期間中は解約できない
- 悪徳業者が紛れ込んでいる場合がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
貸し倒れや返済遅延のリスクがある
ソーシャルレンディングでは、融資先の法人企業が経営不振に陥ることで貸し倒れや返済遅延のリスクがあります。とくに「ノンリコースローン(責任財産限定特約付)」という融資方式が取られるケースには注意しなければなりません。
ノンリコースローンとは、特定の事業や資産から得られるキャッシュフローだけを返済原資とする融資方式のことを指します。担保にしている範囲以上の返済責任が発生しないため、借り手にとって有利な融資方式です。
ノンリコースローンで融資する場合、運用状況によっては利子の受け取りができなくなるだけでなく、元本が戻らない可能性もあります。
ソーシャルレンディングに参加する際は、どのような融資方式が採用されているかをしっかりチェックしましょう。
ソーシャルレンディング事業者の倒産リスクがある
融資先の企業だけでなく、仲介役である事業者の倒産リスクも忘れてはいけません。
ソーシャルレンディング事業者には、分別管理は義務付けられているものの信託保全は義務付けられていないため、破綻時には投資資金の回収が困難になる可能性が高いです。
「分別管理」とは、投資家から預かる資金と事業者の資金を分けて管理することを指します。一方で「信託保全」は、事業者が投資家から預かる資金を信託銀行などの第三者機関に託すことで、事業者の破綻時に投資家の資金を守る仕組みです。
ソーシャルレンディング事業者には、この信託保全の義務がないうえ、一定額の損失を補償する投資者保護基金のようなセーフティネットもありません。事業者が破綻した場合は、投資家の資金回収は困難といえるでしょう。
運用期間中は解約できない
ソーシャルレンディングでは、原則として中途解約ができません。運用期間は短いもので3ヵ月、長いもので2年に及ぶこともあります。
株式投資や投資信託のようにすぐに現金化できるわけではなく、運用期間中は資金が拘束されます。急に資金を必要とする状況になった場合でも、すぐに引き出すことはできません。
ソーシャルレンディングを利用する際は、この流動性の低さを十分に理解し、計画的に投資することが重要です。生活資金や近い将来使う予定のある資金を確保したうえで、余剰資金を使いましょう。
悪徳業者が紛れ込んでいる場合がある
ソーシャルレンディングには、悪質なサービスを提供する業者が紛れ込んでいる場合があります。実際に、以下のような事例で行政処分を受けた業者も存在し、金融庁から注意喚起がなされています。
【行政処分を受けた指摘事例】
- ファンドの償還金に他ファンドの出資金を充当していた
- 事業者の代表者が自身の借入れ返済等に出資金を使用していた
- 事業自体が実在しない虚偽の表示だった
- 事業の実態や資金の使途の管理がなされておらず、資金が流出していた
参考:ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください|金融庁
ソーシャルレンディングに参加する際は、きちんと取引内容を理解したうえで、業者の信用力を見極めることが重要です。サービスや説明内容に疑問を感じた場合は、無理に契約せず、信頼できる業者を選びましょう。
ソーシャルレンディングの種類
国内で普及しているソーシャルレンディングは「ファンド型」と「マーケット型」の2種類に分けられます。ここでは、それぞれの特徴を簡単に解説します。
ファンド型
ファンド型は、国内のソーシャルレンディングで主流の方式です。
ファンド型では、融資先や予定利回りがソーシャルレンディング事業者によって設定されているため、投資家自身で融資先の企業を調査したり金利を決めたりする必要がありません。
投資家は案件を選んで投資額を決めるだけで、手軽にソーシャルレンディングに参加できます。
マーケット型
マーケット型は、ソーシャルレンディング事業者による融資先企業の格付けを基に、投資家が融資先や金利を決められる方式です。
金利は自由に決められますが、需要と供給の影響を受けるため、融資したい投資家が多い場合には希望する金利で借りられない場合もあります。
代表的なソーシャルレンディングサービス3選
続いて、代表的なソーシャルレンディングサービスを3つ紹介します。それぞれに特色があるので、実際に投資を始める前によく把握しておきましょう。
クラウドバンク
クラウドバンクは、日本クラウド証券が運営しているソーシャルレンディングサービスです。
融資型クラウドファンディング人気No.1*1の実績があり、これまでに公開された累計ファンド数は2024年1月時点で5,800件以上、累計応募金額は2,600億円にものぼります。
実績平均利回り5.87%*2と高利回りを実現していることも人気の理由です。
クラウドバンクは、たくさんのファンドのなかから投資先を選びたい方に向いているといえるでしょう。
*1 2022年5月期 インターネット調査 日本マーケティングリサーチ機構調べ
*2 2023年3月末までの1年間に運用終了した税引き前のファンド実績値
Funds(ファンズ)
Fundsは、1円から出資可能なソーシャルレンディングサービスです。
平均利回りは2.11%*とそれほど高くありませんが、Fundsに参加できるのは厳しい基準をクリアした企業のみ。社内の公認会計士等で構成された審査部門が審査を実施しています。
さらに、借り手企業のすべての資産を責任範囲とする「リコースローン」が採用されているのもポイントです。リスクを抑えてソーシャルレンディングにチャレンジしてみたい方に適しているでしょう。
*集計期間:2019年1月23日〜2024年1月16日
オルタナバンク
オルタナバンクは、SAMURAI証券が運営しているソーシャルレンディングサービスです。
オルタナバンクの特徴として、金銭債権や不動産、未上場株式など一般の投資家ではアクセスできない国内外の資産に投資できることが挙げられます。
また、流動性・換金性が低い代わりに4~12%*と高いリターンを期待できる点も魅力です。ソーシャルレンディングで高利回りを狙いたい方は、オルタナバンクを検討してみましょう。
*2022年4月1日~2023年3月31日までに募集を行ったファンドの税引き前の利回り
ソーシャルレンディングを始める際に気をつけたいこと
ソーシャルレンディングは魅力的な投資方法ですが、リスクも伴います。失敗を防ぐためにも、以下3つのポイントに注意しましょう。
投資は余剰資金で行う
ソーシャルレンディングに限った話ではありませんが、投資は元本が保証されません。そのため、必ず余剰資金で行う必要があります。
余剰資金とは、生活費や緊急時の備えなど、生活に必要なお金を除いた資金です。投資で失敗しても、生活に支障をきたさない程度の資金を投資に回しましょう。
また、ソーシャルレンディングの場合は中途解約ができない点にも注意が必要です。運用期間中は資金がロックされることも十分考慮したうえで、無理のない金額から始めましょう。
信頼できる事業者を見極める
ソーシャルレンディングで失敗しないためには、信頼できる事業者を選ぶことが非常に大切です。行政処分の有無や、過去の実績、投資家からの口コミ・評判などを調査し、信頼できる事業者かどうかを判断しましょう。
ソーシャルレンディング事業者を選ぶ際のチェックポイントを以下にまとめました。参考にしてください。
- 第二種金融商品取引業の登録を受けているか
- 過去に行政処分を受けたことはないか
- 株式上場しているか
- 貸し倒れや返済遅延発生率が高くないか
- 平均利回りが高すぎないか
- 融資先企業の名称を公開しているか
とくに第二種金融商品取引業の登録を受けていない業者の場合は、詐欺的な商法である可能性が高いです。
ソーシャルレンディングを始める際は、第二種金融商品取引業の登録番号が事業者のサイトに掲載されているかチェックしてみてください。なお、金融庁の免許・許可・登録等を受けている業者一覧からも確認できます。
利回りだけで選ばない
高い利回りを提示するファンドは魅力的ですが、利回りだけで投資先を選ぶのは避けましょう。相場よりも高い利回りのファンドは、返済遅延や貸し倒れのリスクが高い傾向があるためです。
高利回りだからといって安易に飛びつかず、貸付先の事業内容や財務状況、運営会社の信頼性などを総合的に判断して、ファンドを選ぶようにしましょう。
リスクを抑えたいなら不動産クラウドファンディングがおすすめ
「少額から投資できる」「ほったらかしで運用できる」など、ソーシャルレンディングと特徴が似ている投資として不動産クラウドファンディングがあります。
不動産クラウドファンディングでは、投資対象となる不動産の家賃収入や売却益などによって得られた利益が分配金として受け取れます。
ソーシャルレンディングとの主な違いは以下の通りです。
不動産クラウドファンディング | ソーシャルレンディング | |
投資対象 | 不動産 | 貸金の需要者 |
分配金 | 不動産運用によって得られた利益 | 貸付利息 |
情報開示 | 透明性が高め | 透明性が低い |
共同出資 | あり | ない |
不動産のクラウドファンディングは、ソーシャルレンディングに比べて情報開示の透明性が高い点が特徴です。投資物件の築年数やエリア、家賃の相場などを確認できるため、収益性や期待利回りを的確に判断できます。
また不動産クラウドファンディングでは、万が一元本割れが発生した場合に事業者が一定額の損失をカバーする「優先劣後方式」が採用されています。そのため、ソーシャルレンディングに比べてリスクを抑えた投資が可能です。
より安全性の高い投資をお探しの方は、不動産クラウドファンディングを検討してみるとよいでしょう。
まとめ
今回は、ソーシャルレンディングの仕組みや利回り、メリット・デメリットを中心に解説しました。
ソーシャルレンディングは、少額から始められて、運用期間中はほったらかしにできることから、注目を集めている投資手法です。しかし、貸し倒れやソーシャルレンディング事業者の倒産、悪徳業者に騙されるリスクもあるため、事業者やファンドの見極めが重要になります。
リスクを抑えて投資をしたい方は、不動産クラウドファンディングも検討してみましょう。優先劣後方式という投資家を守る仕組みがあるため、元本割れのリスクを抑えた資産運用が可能です。
不動産クラウドファンディング事業者のなかでも、中古アパート販売実績No.1の実績をもつファミリーコーポレーションが運営する「不動産BANK」がおすすめです。元本割れのリスクを抑えながら、利回り6%という高いリターンを期待できます。
今回の記事を参考に、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングなどから、自分に合った投資方法を検討してみてください。