
全世界株式は、世界中の企業に分散投資できるため、多くの投資家に人気のある投資信託です。 一方で「おすすめしない」との意見もあり、投資を検討するうえで気になる点ではないでしょうか。 たとえば、「本当に利益が出るのか?」「リ […]
全世界株式は、世界中の企業に分散投資できるため、多くの投資家に人気のある投資信託です。
一方で「おすすめしない」との意見もあり、投資を検討するうえで気になる点ではないでしょうか。
たとえば、「本当に利益が出るのか?」「リスクはどの程度あるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
そこで、本記事では、全世界株式のメリットやデメリット、注意点について詳しく解説します。また、全世界株式が向いている人、向いていない人についても紹介しますので、ぜひ投資判断の参考にしてください。
- 全世界株式をおすすめしない理由は?
⇒ 米国株の影響を受けやすい、為替変動の影響をうけやすいなどの理由があるため。 - 全世界株式の注意点は?
⇒ 全世界株式の銘柄は1本に絞り、長期的運用を目指すことが大切。
目次
全世界株式の基礎知識
全世界株式とは、世界中の企業の株式に広く分散投資する金融商品です。代表的なものに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」があり、「オルカン」という略称でも知られています。
この投資信託は、先進国から新興国まで幅広い企業の株式を組み入れています。
そのため、一つのファンドを購入するだけで、米国や日本、欧州、中国など、世界のさまざまな市場に投資できるのが特徴です。
以下に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の組入上位10か国の例をまとめました。
1位 | アメリカ | 63.9% |
2位 | 日本 | 4.8% |
3位 | イギリス | 3.2% |
4位 | カナダ | 2.6% |
5位 | フランス | 2.4% |
6位 | スイス | 2.1% |
7位 | ドイツ | 2.1% |
8位 | ケイマン諸島 | 1.9% |
9位 | 台湾 | 1.8% |
10位 | インド | 1.7% |
参考:三菱UFJ銀行eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート(2025年2月28現在)
また、「eMAXIS Slim 全世界株式」は、低コストで運用されており、長期的な資産形成を目指す投資家に人気があります。手数料が安いため、コストを抑えながら分散投資ができる点も魅力のひとつでしょう。
このように、全世界株式はリスクを分散しながら世界経済の成長を取り込むことを目的とした投資方法ですが、すべての投資家に適しているわけではありません。次の章では、その理由について詳しく解説します。
全世界株式がおすすめしないと言われる5つの理由
全世界株式は世界中の企業の株式に広く分散投資できる人気の投資方法ですが、以下の5つの理由から「おすすめしない」と言われることがあります。
- 米国株の影響を受けやすいから
- S&P500よりもリターンが少ないから
- 新興国の株式が含まれているから
- 資産運用のリスクヘッジになるとは限らないから
- 為替変動の影響を受けやすいから
それぞれ、どのような理由か詳しく見ていきましょう。
米国株の影響を受けやすいから
全世界株式は、名前の通り世界中の株式に分散投資できる商品ですが、その実態は「米国株の影響を強く受ける」投資信託でもあります。
その理由は、全世界株式の投資対象の中で米国企業の割合が非常に高いからです。
たとえば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の構成銘柄を見ても、上位10社のほとんどが米国企業(Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIAなど)で占められています。
1位 | APPLE INC | アメリカ 情報技術 | 4.5% |
2位 | NVIDIA CORP | アメリカ 情報技術 | 3.6% |
3位 | MICROSOFT CORP | アメリカ 情報技術 | 3.4% |
4位 | MICROSOFT CORP | アメリカ 情報技術 | 2.4% |
5位 | AMAZON.COM INC | アメリカ 一般消費財・サービス | 1.8% |
6位 | ALPHABET INC-CL A | アメリカ コミュニケーション・サービス | 1.4% |
7位 | BROADCOM INC | アメリカ 情報技術 | 1.1% |
8位 | TESLA INC | アメリカ 一般消費財・サービス | 1.0% |
9位 | TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC | 台湾 情報技術 | 1.0% |
10位 | JPMORGAN CHASE & CO | アメリカ 金融 | 0.9% |
参考:三菱UFJ銀行eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート(2025年2月28現在)
そのため、米国市場が好調なときは全世界株式の成績も良くなりますが、逆に米国市場が低迷すると、その影響を大きく受けることになります。
結果として、全世界株式を購入しても、実質的に米国株を中心とした投資になってしまうため、「それなら最初から米国株に投資した方がよいのでは?」という意見もあります。
S&P500よりもリターンが少ないから
全世界株式と同じく投資信託の中で人気のある商品に「S&P500」というものがあります。
全世界株式は長期的な資産形成に適した投資信託ですが、リターンの面ではS&P500に劣る傾向があります。
その理由は、S&P500が米国の代表的な企業約500社で構成されており、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場する企業の時価総額の約80%をカバーしているためです。
そして、米国市場は歴史的に高い成長率を誇っており、過去の運用実績を見てもS&P500の方が全世界株式より高いリターンを上げています。
これは、全世界株式には成長が鈍い国や新興国市場も含まれるため、米国市場の高い成長率の恩恵を100%享受できないことが要因です。
そのため、米国の成長を重視する投資家にとっては、全世界株式よりもS&P500の方が魅力的な選択肢となる場合があります。
新興国の株式が含まれているから
全世界株式は先進国だけでなく、新興国の株式も含まれているため、政治・経済の安定性という点でリスクを抱えています。
新興国は経済成長のポテンシャルがある一方で、政治の不安定さや通貨の変動、政府の規制強化などのリスクが高いのが特徴です。
たとえば、クウェートやカタールといった中東の産油国は原油価格の変動に大きく影響され、ギリシャのような国は財政危機のリスクを抱えています。これらの国でクーデターや経済危機が発生すると、投資信託全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
ただし、新興国株の比率は全世界株式の中では比較的少ないため、その影響が即座に大きな損失につながるわけではありません。
しかし、長期的に安定した運用を求める投資家にとっては、こうしたリスク要因を考慮する必要があります。
資産運用のリスクヘッジになるとは限らないから
全世界株式は世界中の企業に分散投資しているため、一見するとリスクヘッジに適しているように思えます。しかし、実際には「リスクを十分に分散できているとは言い切れない」という点に注意が必要です。
その理由は、全世界株式の多くが米国企業に偏っており、新興国の社会情勢の影響も受けるためです。
たとえば、リーマンショックのような世界規模の経済危機が発生した場合、全世界株式も大きな影響を受けてしまいます。これは、どの国の市場も同時に下落するため、いくら地域的に分散投資をしていても損失を避けられないからです。
もちろん、一つの国や市場に依存するよりはリスク分散の効果がありますが、株式という資産クラスに集中している点は変わりません。
そのため、より強固なリスクヘッジを求める場合は、債券や金、不動産など他の資産クラスと組み合わせることが重要です。
為替変動の影響を受けやすいから
全世界株式は、外国の株式に投資するため、為替変動の影響を受けやすいというデメリットがあります。
とくに、日本の投資家が円で投資する場合、為替レートの変動によってリターンが大きく左右される点に注意が必要です。
その理由として、全世界株式の多くは「為替ヘッジなし」の運用が基本となっているため、円高が進むと資産価値が目減りしてしまいます。
たとえば、1ドル=150円のときに投資をして、その後1ドル=130円まで円高が進むと、ドル建てでは利益が出ていても円換算では損失になることがあります。
為替の影響を抑えたい場合は、為替ヘッジ付きの投資信託を選ぶ方法もありますが、ヘッジコストがかかるためリターンが下がる可能性もあります。
こうした点から、「為替リスクを考慮すると全世界株式はおすすめしにくい」という意見もあるのです。
全世界株式の2つのメリット
ここまで全世界株式の特徴やデメリットを解説してきました。
ここでは、全世界株式について深く知るために以下のメリットについて解説します。
- 投資判断が必要ない
- 世界経済の成長の恩恵を受けられる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
投資判断が必要ない
全世界株式の大きなメリットの一つは、「投資判断が不要である」という点です。
通常、個別株に投資する場合は、企業の業績や市場動向を分析し、どの銘柄を買うかを慎重に判断する必要があります。
しかし、全世界株式は「世界中の株式に分散投資する」というコンセプトのもと設計されているため、投資家自身が特定の企業や国を選ぶ必要がありません。
たとえば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を1本購入すれば、自動的に世界のさまざまな企業に分散投資できるため、初心者でも始めやすいのが特徴です。個別株のように、企業の財務状況を細かく分析したり、経済ニュースを常にチェックしたりする手間が省ける点も魅力です。
「長期的に資産を増やしたいが、投資の知識や時間がない」という人にとって、全世界株式は合理的な選択肢の一つといえるでしょう。
世界経済の成長の恩恵を受けられる
全世界株式の大きなメリットの一つは、世界経済の成長とともにリターンを期待できる点です。
全世界株式は、世界中の株式に投資するため、世界経済の成長に合わせて運用成績が向上する傾向にあります。
とくに、先進国の株式に加えて、新興国の株式も組み入れられているため、世界的に経済が成長すれば、その恩恵を受けることができます。
たとえば、中国やインドのような経済成長が著しい国々も含まれているため、これらの国々の成長により全世界株式が上昇する可能性が高いです。これらの新興国は、今後も高い経済成長率が期待されており、投資家にとっては長期的にリターンを得るチャンスになるでしょう。
そのため、全世界株式は、短期的な変動に左右されることなく、長期的な視点で見ると安定したリターンを期待できる投資対象といえるでしょう。
全世界株式が向いている人
これまで、全世界株式のメリットやデメリットについて解説しました。
全世界株式の特徴を知ったうえで、全世界株式の運用を取り入れたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
ここでは世界株式株式が向いている人について紹介します。
投資判断をせずに世界の株式を運用したい人
全世界株式は、投資判断という手間をかけずに世界中の株式に分散投資したい人におすすめです。
先述した通り、1本の投資信託を購入するだけで、世界中の株式に自動的に分散投資されるため、どの企業や国に投資するかを選定したり、割合を決めたりする必要がありません。
たとえば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を1本購入するだけで、すぐに世界の企業に投資できるので、投資の初心者でも安心して運用を開始できます。
そのため、投資の知識がなくても手軽に運用できる点が大きな魅力です。
とくに、投資の専門知識がないけれども、世界経済に乗り遅れずに投資をしたいという人にはぴったりでしょう。
長期でリターンを期待したい人
全世界株式は、長期的にリターンを期待したい人にも向いています。
この全世界株式は個別株のように短期的な価格変動が激しくないため、長期的な視点で運用することが可能です。世界の経済成長に連動するため、短期的な波はあるものの、長期で見ればリターンを得る可能性が高いと言えます。
そのため、5~10年単位での運用を見込むと、まとまった運用益を得ることができる可能性があります。
このよう全世界株式は、一度購入して長期保有することで、日々の価格変動を気にする必要がなく、放置しておいても問題ない点が魅力です。
長期的に安定した資産形成を目指す人には最適な選択肢となるでしょう。
全世界株式が向いていない人
投資目的や運用スタイルによっては全世界株式が向いていない場合があります。
ここでは、全世界株式がどのような人に向いていないのか、具体的な理由を見ていきましょう。
短期で運用益を得たい人
全世界株式は、短期で運用益を得たい人には向いていません。
全世界株式は基本的に長期運用を前提とした投資商品です。世界経済の成長に連動してリターンが得られるため、最低でも5~10年単位での運用を考える必要があります。
そのため、短期間で急激なリターンを求めるような投資スタイルには適していません。
たとえば、短期での投資運用を行った場合、価格変動によりマイナスになってしまうこともあります。
とくに市場が不安定な時期には、損失を出す可能性が高く、短期的な利益を狙う人には向いていないと言えるでしょう。
自分で投資先を決めたい人
全世界株式は、自分で特定の投資先を決めたい人には向いていません。
全世界株式は1本購入することで、世界中の株式に自動的に分散投資されるため、特定の企業や地域を選ぶことができません。
これにより、個別の銘柄や地域に焦点を当てて投資したい人には不向きです。
また、銘柄によって投資先は多少は異なりますが、投資先はほぼ同じ構成になっています。
そのため、自分の投資先にこだわりの特定の企業や地域を加えたいと考えている人には、個別株や特定の地域に集中投資できる投資信託の方が適していると言えるでしょう。
全世界株式をはじめるときの注意点
実際に全世界株式への投資を検討しているものの、リスクについて心配している方もいるでしょう。大切な資金を無駄にしてしまうことは避けたいものです。
ここでは、全世界株を購入して失敗するリスクを抑えるための注意点を3つ紹介します。
全世界株式をはじめたい方は、ぜひ3つのポイントを参考にしてみてください。
全世界株式の銘柄は1本に絞る
全世界株式をはじめる際は全世界株式の銘柄は1本に絞った方が効率的です。
全世界株式にはいくつかの商品が存在しますが、基本的な投資対象国や比率はほぼ同じです。そのため、複数の銘柄を保有しても、実質的に投資先が重複するだけで、運用において新たな利点はほとんどありません。
たとえば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)など1本を購入すれば、管理が簡単になり、手間も省けます。複数の銘柄を持っていても、それらの商品は中身が似ているため、リスク分散効果やリターンの差はほとんどないでしょう。
また、複数の銘柄を保有することでかえって管理が煩雑になり、投資効率が低下することがあるため、1本に絞るのをおすすめします。
長期的な目線で考える
全世界株式への投資は長期的な目線でリターンを考えることが大切です。
全世界株式は短期投資に向いておらず、一時的に値下がりすることもありますが、短期的な価格変動に過度に反応しないようにしましょう。
もし、一時的な下落に焦って売却してしまうと、長期的な恩恵を受け損ねる可能性があります。
新興国や先進国が成長を続ける限り、全世界株式の価値も上昇することが一般的なので、長期保有を前提に考えることで、リターンを得られる可能性が高まるでしょう。
ほかの運用先も検討しておく
全世界株式だけでなく、リスクヘッジとしてほかの運用先も検討しておくことが重要です。
全世界株式のデメリットやリスクを理解したうえで、他の投資商品を組み合わせることで、よりバランスの取れた運用を目指せます。
たとえば、不動産投資は株式投資とは異なるリスク・リターンの特性を持つため、全世界株式の値動きに依存せず、リスク分散が可能になります。
また、債券やゴールドなど、株式市場の動向に左右されにくい資産も有力な選択肢となるでしょう。
全世界株式以外の運用先についても知識を深め、それぞれの特徴を理解したうえで自分の投資方針に合った商品を利用しましょう。
まとめ
今回は、全世界株式について解説しました。
全世界株式は、世界中の企業に分散投資できるため、長期的な資産形成を目指す投資家に人気のある投資信託です。
しかし、一方で「おすすめしない」との意見もあります。その主な理由として、米国株の影響を受けやすいことや、S&P500と比較してリターンが低いこと、新興国株のリスク、リスクヘッジ効果の限界、そして為替変動の影響を受けやすい点が挙げられます。
一方で、投資判断の手間がかからず、世界経済の成長の恩恵を受けられる点は大きなメリットです。そのため、投資判断をせずに資産運用をしたい人や、長期的に安定したリターンを期待したい人には向いていると言えます。
なお、投資の手間がかかりにくく、比較的高い利回りが期待できる投資を検討している方は、不動産クラウドファンディングがおすすめです。
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