リートがおすすめしないといわれる理由を詳しく解説しながら、リートの仕組みや運用における注意点、リートがおすすめの人の特徴などを紹介します。
少額でも始められる不動産投資のひとつとして、リート(REIT)があげられます。しかし、調べるうちに「リートはおすすめしない」という情報を目にして、不安を感じている人も少なくないでしょう。
今回は、リートがおすすめしないといわれる理由を詳しく解説しながら、リートの仕組みや運用における注意点、リートがおすすめの人の特徴などを紹介します。
目次
リート(REIT)の基礎知識を解説
まずは、リート(REIT)の仕組みや種類など、基礎知識について解説します。
リート(REIT)の仕組み
リートは「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとった言葉で、「不動産投資信託」と呼ばれる金融商品のひとつです。金融機関や投資家から元手となる資金を集めて不動産投資を行い、得られた家賃収入や不動産の売買益などの利益を配当します。
リートは、投資会社が発行する投資証券を証券取引所で購入することで投資が可能です。ほかにも、投資信託やETFを購入する方法があります。
投資者は、不動産のプロに物件の運用を任せられるため、初心者にもおすすめの金融商品といわれています。
リート(REIT)は3種類
リートは、大きく以下3つの種類に分けられます。
- 単一用途特化型リート
- 複合型リート
- 総合型リート
単一用途特化型リートは、オフィスビル特化や住居特化、ホテル特化など特定の用途に限られた不動産に投資するリートです。単一の不動産に投資するため値動きを予測しやすく、大きな分配金を得やすい一方、リスク分配ができないという特徴があります。
複合型リートは2種類の用途、総合型リートは3種類以上の用途や用途を限定しないリートを指します。リスク分配ができるため安定して分配金を得やすいものの、高額の分配金は期待できない方法です。
Jリートと米国リートの違い
リートは1960年代にアメリカで生まれた仕組みです。日本では「投資信託及び投資法人に関する法律」の改正により、2001年から市場に登場しましたが、アメリカのリートとは制度が異なることから「J-リート」と呼ばれています。
J-リートにおける資産運用業務は外部業者への委託が義務付けられており、投資法人が自ら不動産開発を行うことが認められていません。一方、米国リートでは従業員を雇用して自ら不動産の運用や管理、開発を行うことが可能です。このように、J-リートは「外部運用型」、米国リートは「内部運用型」である点に大きな違いがあります。
リート(REIT)がおすすめしない・やばいといわれる7つの理由
リートは初心者でも扱いやすい金融商品であるといわれる一方、「おすすめしない」という意見もあります。その主な理由について解説します。
元本割れのリスクがある
他の金融商品と同様に、取引のタイミングによっては元本割れするリスクを含んでいます。
リートは、株式などと同様に日々価格が変動するため、購入時の価格より下落する可能性があります。リートの価格は不動産市場の動向や景気、自然災害といったさまざまな外部要因の影響を受けるため、正確な予想が困難です。元本割れにより損失が出ても生活に支障がないよう、慎重に資金を管理することが大切です。
分配金減額の可能性がある
投資会社の経営状況によっては、分配金が減額するリスクも否定できません。近年では、コロナウイルス感染症の流行により観光需要が低迷したことから、ホテル特化型リートの分配金も減少傾向となりました。
このように、購入時に利回りの良い商品を選んでも、経済動向や世界情勢などの影響を受けて、予想外に分配金が減額される可能性は念頭に置くべきです。
運営会社の倒産・上場廃止の可能性がある
投資会社の経営状況が悪化すれば、倒産や上場廃止の可能性もあります。そうなれば、リートの価格の大幅下落は避けられないでしょう。購入したリートが監理銘柄や整理銘柄に指定されても売買自体は可能ですが、価格が大幅下落したリートには買い手が付かないケースも珍しくありません。
個別銘柄に投資する際は、投資会社の経営状況を定期的にチェックし、投資対象として問題ないかよく検討しましょう。
複利効果が得られず効率が悪い
リートは、投資会社が得た利益をそのまま分配金として支払うため、投資家は複利効果を得られません。
複利効果とは、投資により得られた利益を再投資し、元本を大きくすることで利益を膨らませる効果です。リートで複利効果を得るためには、分配金でリートを再購入する必要があります。しかし、かなり高額の投資をしない限り、分配金のみで再購入するのは現実的ではありません。
そのため、長期的に資産形成したい場合には、リートへの投資は効率が悪いといわれています。
節税効果が低い
リートは、現物の不動産投資に比べて節税効果が低い投資法です。
現物不動産投資では物件の取得や管理にかかる費用を経費として計上できます。さらに、投資規模が事業レベルになれば青色申告ができるため、青色申告控除など税務上の特典の対象となります。
一方、リートは他の金融商品と同様に、分配金や売買益に約20%の税金がかかるため、節税メリットが少ないといえるでしょう。
自然災害により収益が左右される
リートは不動産を対象とする投資法であるため、台風や水害、地震などの自然災害によって不動産に損害が出ると、価格が下落する可能性があります。
保険をかけられていれば一定の補償を受けられますが、損害の程度によっては分配金が減額されるケースも少なくありません。不動産が一カ所に集中していないかなど、災害リスクを考慮して銘柄を選ぶことが大切です。
融資を受けられない
リートは投資家自身が不動産を購入・管理して利益を得るわけではないため、金融機関から融資を受けて資産形成することができません。自己資金内での投資となるため、投資額が少ないと多額の利益を得ることは困難です。
自己資金以上の多額の投資を行って資産形成したい場合には、金融機関から融資を受けられる現物不動産投資が適しています。
リート(REIT)に投資する5つのメリット
ここまでリートのデメリットを紹介しましたが、特に投資初心者にとってはメリットの多い制度でもあります。リートに投資する代表的なメリットを紹介します。
知識がなくても始めやすい
最大のメリットは、物件の購入や管理を不動産投資のプロに任せられるため、知識のない初心者でもチャレンジしやすい点です。
もちろん、安定して利益を得るためには不動産や投資に関して知識をつける必要がありますが、比較的リスクが低く、投資初心者でも取り組みやすい方法といえます。
少額から始められる
リートの最低投資額は数万円~数十万円と、少額から始められる点も魅力です。
現物不動産投資の場合、最低でも数百万円、不動産の種類によっては数千万円から数億円など、多額の資金が必要になります。リートでは、複数の投資家や金融機関から資金を集めるため、ホテルやショッピングモールなど、個人では購入が難しい種類の不動産にも投資が可能です。
比較的分配利回りが高い
リートには税制優遇があるため、比較的利回りが高い金融商品といえます。
一般法人の場合、事業によって得た利益には法人税がかかりますが、リートでは不動産投資で得られた利益の90%以上を分配金に回すなどの条件をクリアすれば、法人税がかかりません。他の金融商品に比べると収益性が高いことから、高利回りが期待できます。
不動産を管理する手間がない
リートでは、投資家が直接不動産を管理する必要がありません。
自分で不動産を購入・管理する場合、物件探しや物件の確認、不動産会社との交渉、入居者募集、修繕、清掃、リフォームなどの手間がかかります。これらを全て投資会社に任せられる点でも、手軽な投資方法といえるでしょう。
換金しやすい
現物の不動産と異なり、証券取引所でいつでも売買が可能なため、換金性が高いという特徴もあります。
不動産を売買する場合には、査定や買い手の募集、不動産会社とのやりとりなどの手間がかかり、売りたいタイミングですぐに売ることは困難です。リートはリアルタイムで価格変動を確認でき、自由に売却・購入できます。
リート(REIT)がおすすめな人の特徴
よく初心者におすすめされるリートですが、具体的にどのような人に向いているのでしょうか。リートがおすすめの人の特徴を紹介します。
少額から不動産投資を始めたい人
リートは現物不動産投資とは異なり多額の初期投資が必要ないため、なるべくローコストで投資を始めたい人に向いています。
多くのリートは小口化されており、数万円から投資が可能です。ただし、投資額が少ないほど得られるリターンも少なくなることを念頭に起きましょう。
物件管理の手間をかけずに運用したい人
物件の管理にかかる手間やコストを負わず、効率的に運用したい人にもリートはおすすめです。
現物不動産投資でも物件の清掃や入居者対応などの管理業務を管理会社に委託することは可能ですが、その場合は手数料として賃料の約5%を支払う必要があります。リートの場合は投資会社が物件の所有権を持っているため、これらの手間やコストを投資家が支払うことはありません。
定期的に安定して収入を得たい人
定期的に不動産賃料を得られるため、安定して分配金を得たい人もリートが向いています。
不動産収入は株式のように数分単位での大きな値動きがなく、定期的に一定金額の収入を得られます。不動産の種類によっては景気動向の影響も受けるものもありますが、他の金融商品に比べると安定して収入を得やすいといえるでしょう。
リート(REIT)を運用する際におさえておきたいポイント
リートは初心者でも取り組みやすい投資法ですが、運用するには一定の注意が必要です。リートを運用する際におさえておくべきポイントを解説します。
デメリットやリスクを理解する
リートは少額から始められるゆえに、ローリスク・ローリターンの投資方法です。手間がかからない一方で投資効率は低く、長期的な資産形成には不向きです。また、リートに限らず、多くの投資は元本保証がなく、倒産リスクをはじめとするさまざまなリスクやデメリットを含んでいます。
メリットばかりに目を向けず、さまざまな投資方法や金融商品の特徴を比較して、デメリットやリスクを理解してから取り組むことが大切です。
運用には余剰資金を用いる
リートは比較的ローリスクな投資法とはいえ、前述の通り一定のリスクを含んでいます。高額の資金を投資したにもかかわらず、急激な価格下落や元本割れが起こってしまうと、生活に支障が出る可能性もあります。
正確に価格変動を予測することは難しいため、手元資金が不足しないよう、運用には余剰資金を利用しましょう。
分散投資を活用する
投資先を特定の種類や地域の不動産に限定すると、価格変動や災害によるリスクが高まります。特に初心者は、一極集中ではなく複数の銘柄に投資する分散投資を活用することがおすすめです。
リートの投資対象は、オフィス・ホテル・住居・物流施設・商業施設・ヘルスケアの6つに分類されます。それぞれの業界動向や利回りなどを比較して分散投資をした方が、リスクを低減できるだけでなく安定収入につながります。
リスクを抑えて不動産投資をするなら不動産クラウドファンディングがおすすめ
リスクを抑えて不動産投資を始めたいなら「不動産クラウドファンディング」もおすすめです。
不動産クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金を募り、それを元手に不動産投資を行う方法です。1万円程度の少額から出資が可能で、投資家は出資金額に合わせて定期的に分配金を受け取ります。
リートとの大きな違いは、元本割れリスクをある程度抑えられる、日々の大きな価格変動がない点などがあげられます。
売買のタイミングを自分で決定する必要がなく、投資後は分配金の配当を待つのみで済むという点も特徴です。初心者でも取り組みやすい投資法といえるでしょう。
まとめ
元本割れや災害、投資会社の倒産などのリスクを抱えることから「おすすめしない」という声も多いリートですが、少額から投資を始めたい初心者にとっては魅力の多い商品です。
不動産の購入や管理をプロに任せられるため、知識がなくても取り組みやすい投資ですが、日々の価格変動や業界動向などのチェックは欠かせません。投資に必要な知識を身に付け、リスクやデメリットをしっかり理解した上で始めましょう。
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