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不動産投資

不動産投資でフルローンを選ぶメリットとは?危険といわれる理由も解説

不動産投資でフルローンを選ぶメリット・デメリットを解説します。フルローンの融資を受けるための条件や失敗しないコツなども紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

不動産の購入費用を融資のみで調達するフルローン。自己資金に乏しく、フルローンの利用を検討しているものの、具体的にどのようなメリットがあるのか、どうすればフルローンの融資を受けられるのかなど、さまざまな疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、不動産投資でフルローンを選ぶメリット・デメリットを解説します。フルローンの融資を受けるための条件や失敗しないコツなども紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

フルローン=物件の購入資金を融資のみで調達すること

不動産投資におけるフルローンとは、物件の購入資金を融資のみで調達することを指します。

不動産投資をおこなうには、まず物件を購入する必要があり、多くの場合は数百万~数千万円程度の初期費用が必要です。そのため、よほどの資金がない限りは、銀行でローンを組んで始めるケースが一般的といえます。

ローンを組む際は通常、物件価格の20~30%を頭金として支払い、残り部分を銀行から借入れます。一方、頭金を1円も支払うことなく、100%融資を受けるのがフルローンです。

フルローンはリスクが高い一面はあるものの、一概に危険だと決めつけることはできません。不動産投資でフルローンを選ぶかどうかは、メリット・デメリットを正しく理解したうえで判断することが大切です。

不動産投資をフルローンで始めるメリット

不動産投資をフルローンで始めるメリットは以下の3つです。

  • 手持ちの資金を残したまま不動産投資ができる
  • 自己資金が少額でも大きな利益を狙える
  • 団体信用生命保険の効果を最大限に活かせる

運用方針によっては、フルローンで始めることが望ましいケースもあります。一つひとつのメリットを詳しくみていきましょう。

手持ちの資金を残したまま不動産投資ができる

不動産投資をフルローンで始めるメリットのひとつが、手持ちの資金を残したまま不動産投資ができることです。フルローンであれば、銀行からの融資のみで物件価格分の資金が手に入るため、自己資金をほとんど持ち出す必要がありません。

手元に残った資金は、収益を安定させるための宣伝費や物件のリフォーム費などに回すことができます。災害や事故など、予想外の事態が起きたときの備えにもなるでしょう。

また、フルローンによって確保した自己資金を元手として、ほかの物件に投資することもひとつの方法です。運用する物件が増えれば、その分利益の増加も期待できます。

自己資金が少額でも大きな利益を狙える

フルローンを活用して不動産投資を始めれば、自己資金が少額でも大きな利益を狙えます。フルローンでは、投資効率を高めるレバレッジ効果が最大限に発揮されることを覚えておきましょう。

レバレッジ効果とは、自己資金に対する利益がより大きくなることを指します。たとえば、自己資金2,000万円で利回り5%の物件に投資するケースを考えてみましょう。自己資金のみで2,000万円の物件を購入した場合、年間の利益は100万円です。しかし、3,000万円の融資を受けて5,000万円の物件を購入すれば、年間250万円の利益を狙うことも可能です。

このように、自己資金は一定でも融資を受けて投資額を増やせば、より大きな利益が期待できるようになります。自己資金が乏しいなかでも、とにかく大きな利益を狙っていきたいのであれば、フルローンは有力な選択肢になるでしょう。

団体信用生命保険の効果を最大限に活かせる

団体信用生命保険の効果を最大限に活かせる点も、不動産投資でフルローンを選ぶメリットといえます。

団体信用生命保険とは、ローンの契約者が死亡したり、高度障害状態になったりした場合に残額の返済が免除される制度のことです。万が一の際には、ローン残高が大きいほど免除される金額も大きくなるため、金銭面では得することになります。

もちろん、残債のなくなった物件はそのまま遺族に引き継ぐことが可能です。さらに、フルローンを利用した場合、物件購入時に手をつけずに済んだ自己資金も残せます。

なお、銀行でローンを組む際には、団体信用生命保険への加入が必須条件とされているケースが一般的です。加入する保険の種類にもよりますが、三大疾病保障などの特約が付くとローン金利が0.2~0.3%程度上乗せされることがある点にも注意してください。

不動産投資のフルローンは危険?知っておくべき3つのデメリット

不動産投資のフルローンが危険といわれるのは、以下のようなデメリットがあるからだと考えられます。

  • 返済の負担が大きくなる
  • 融資審査が厳しい傾向にある
  • 物件を売却しにくくなる

メリットだけでなく、デメリットにもしっかりと目を向けたうえで、フルローンを選択するかどうかを検討しましょう。

返済の負担が大きくなる

フルローンで不動産投資を始めるデメリットのひとつは、返済の負担が大きくなることです。頭金を支払わない分、借入れる元本が大きくなるため、当然月々の返済額も増えます。また、元本が大きくなるほど、利息の支払額が増えてしまう点にも注意してください。

返済額が収入に対してあまりにも多すぎると、空室や家賃滞納などによって家賃収入が減少した場合に、ローン返済が滞ってしまう可能性も否定できません。ローンを支払えなければ、最悪の場合、物件を手放さなくてはならなくなります。

借入額が大きいと、金利上昇の影響を受けやすいこともデメリットといえるでしょう。借入条件によっては、金利が1%高くなっただけで、返済額が数百万円以上高くなることも珍しくありません。

融資審査が厳しい傾向にある

融資審査が厳しい傾向にあることも、フルローンを選択するデメリットといえるでしょう。

銀行側からすると、融資する額が大きくなるほど貸し倒れのリスクが高まります。そのため、フルローンで多額の融資を申込もうとすると、返済能力を入念にチェックされるのです。当然、頭金を出してローンを組むよりも、審査の難易度は上がることを理解しておきましょう。

フルローンの審査に通過したとしても、その後の借り換えや追加融資が認められない可能性もあります。より条件のいいローンがあったとしても、再度フルローンで借り換えできるとは限りません。また、フルローンで多額の負債を抱えているなかで、追加融資が容易にできるとも考えないほうがよいでしょう。

物件を売却しにくくなる

購入した物件の売却が難しくなってしまうことも、フルローンのデメリットといえます。フルローンは、基本的に多額の借入れをおこなうものです。そのため、物件の売却益だけでは残債を支払えず、手放したくても手放せない状態に陥る可能性があります。

頭金を十分に支払っている場合は、残債もある程度抑えられているはずであるため、手持ちのお金で補填できることもあるでしょう。しかし、フルローンとなると、よほど資金に余裕がなければ残債をまかなうことは困難です。

よって、フルローンを選択すると、収益が見込めない物件でも手放せなくなることがあります。物件は所有しているだけでも、税金や維持・管理費をはじめとした経費がかかるため、赤字だけが拡大していくことにもなりかねません。

不動産投資をフルローンで始めた場合のシミュレーション

ここでは、不動産投資をフルローンで始めた場合のシミュレーションをみていきましょう。フルローンの借入条件などは以下のとおりとします。

項目金額等
借入額1億円(金利3%・返済期間30年)
家賃収入月65万円
経費割合家賃の2割

上記条件で運用した場合、ローン返済額は約42万円、月々の経費は13万円です。これらの費用を家賃65万円から差し引くと、毎月10万円の収入を得られることがわかります。

家賃収入65万円 – ローン返済42万円 – 経費13万円 = 利益10万円

このように、フルローンでも利益を残せる可能性はあるものの、ローン返済が大きな負担となってしまいます。空室ができたり、急に修繕が必要になったりした場合は、キャッシュフローがマイナスになることもあるでしょう。

仮に頭金を3,000万円用意できれば、ローン返済額は30万円程度に抑えられます。少しでも手元に残る利益を増やしたいのであれば、ある程度の頭金を出すことも検討しなければなりません。

銀行でフルローンの融資を受けるための条件

銀行でフルローンの融資を受けるためには、主に以下のような条件を満たす必要があります。

  • 年収や資産が多い
  • 共同担保を設定できる物件がある
  • 物件の価値・収益性が高い
  • ほかの投資物件で収益が出ている

いずれかの条件を満たしている場合は、フルローンの利用も選択肢にいれておくとよいでしょう。

年収や資産が多い

フルローンを受けるための条件としてあげられるのが、年収が高く、資産が多いことです。金銭的に余裕がある場合は返済能力が高いと判断され、銀行からの融資が受けやすくなります。

たとえば、年収に対する融資額の上限は8倍程度がひとつの目安です。ただし、求められる年収や資産は、希望する融資額や銀行の方針などによっても異なるため注意してください。

また、収入に関しては安定性も重要です。いくら収入が高くても、自営業で一時的に増収しているだけとみなされた場合は融資審査に落ちてしまうことがあります。反対に、公務員や大企業の会社員といった社会的信頼の高い職業や、勤続年数が長い人などはフルローンを受けられる可能性が高いといえます。

共同担保を設定できる物件がある

共同担保を設定できる物件があれば、フルローンの融資審査にも通過しやすくなります。融資に見合う担保を確保できれば、銀行側も貸し倒れのリスクヘッジができるからです。

共同担保とは、銀行から融資を受ける際に、購入する物件とは別の物件にも担保を設定することを指します。担保の価値を上乗せすれば、融資額の上限を引き上げることが可能です。よって、多額の借入れを行うフルローンの審査にも、通過できる可能性が高くなります。

ただし、共同担保はすべての銀行で認められているわけではありません。また、物件の状態や立地場所によっては、共同担保として利用できないケースもあります。

物件の価値・収益性が高い

不動産投資でフルローンを受けるためには、購入する物件の価値や収益性が高いことも大切です。

高値で売却できる物件や将来的に継続して利益をあげられる物件は、担保としての価値が高いと判断されやすくなります。たとえば、新築物件や立地良好で賃貸需要が見込める物件であれば、フルローンの融資審査に通過できる可能性が高くなるはずです。

また、土地の価格が物件価格に対して大きい場合も、審査で有利に働くことを覚えておきましょう。建物とは異なり、土地の価値は下がりにくいとされています。そのため、土地値が高い物件を担保にできれば、銀行側も貸し倒れのリスクを抑えられるため融資しやすくなるのです。

ほかの投資物件で収益が出ている

ほかの投資物件で収益が出ている場合も、フルローンの融資審査に通過しやすくなるといえます。不動産投資の成功実績があり、経営手腕を認められれば、フルローンであっても完済できる可能性は高いと判断されるためです。また、フルローンで購入する投資物件で赤字が出た場合に、ほかの物件の収益でローン返済を補填できるのも審査で有利に働くポイントといえるでしょう。

反対に、別の所有物件で赤字が生じていると、マイナスの評価を受けることがあるかもしれません。不動産投資の経験がない場合も融資のハードルは高いと考えられるため、まずは金額の安い区分マンション投資などから始めるとよいでしょう。不動産の運用実績や返済実績を積み重ねたあとであれば、フルローンを受けられる可能性があります。

不動産投資のフルローンで失敗しないためのコツ

次に、不動産投資のフルローンで失敗しないためのコツを解説します。損失のリスクを少しでも抑えるためにも、一つひとつのポイントをしっかりと押さえておきましょう。

返済比率を50%以下に抑える

不動産投資のフルローンで失敗しないためには、返済比率を50%以下に抑えることが大切です。返済比率とは収入に対する返済額の割合のことを指し、以下の計算方法で算出できます。

  • ローン返済額 ÷ 家賃収入 × 100 = 返済比率(%)

家賃収入から捻出しなければならない費用は、ローン返済だけではありません。不動産投資においては、税金や修繕費などの経費がかかります。また、空室ができた際の減収も想定しておかなければなりません。

そのため、返済比率はある程度余裕をもたせて、50%程度にとどめておく必要があるのです。返済比率が高すぎると、急に収入が減ったり支出が増えたりした際に、家賃収入だけではまかなえなくなる可能性があります。

フルローンは多額の負債を背負ってしまうことになるため、危険だといわれることも少なくありません。しかし、返済比率を低く設定しておけば、リスクを抑えながら安定した収入を得ることも十分可能です。

諸経費の支払いに必要な資金は別途確保しておく

諸経費の支払いに必要な資金は別途確保しておくことも、不動産投資のフルローンに失敗しないためのコツといえるでしょう。フルローンで借入れできるのは、あくまでも物件価格分にとどまります。そのため、物件の取得にともなう諸経費は、すべて自己資金で支払わなければなりません。

たとえば、物件を取得する際にはおもに以下のような費用がかかります。

  • 仲介手数料
  • ローン事務手数料
  • ローン保証料
  • 火災保険料・地震保険料
  • 司法書士報酬
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税

中古物件を購入した場合などは、取得直後に修繕費が必要になるケースもあるでしょう。よって、各種経費の支払いを想定し、物件価格の10%程度は自己資金を用意しておくようにしてください。

ローンを組みたくないなら不動産クラウドファンディングがおすすめ!

不動産投資は物件の取得に多額の初期費用を要するため、ローンを組んで始めるケースがほとんどです。しかし、ローンを組むことは借金をすることでもあるため、できれば避けたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

ローンを組まずに不動産投資を始めたいのであれば、不動産クラウドファンディングがおすすめです。不動産クラウドファンディングとは、インターネット上で投資家から集めた資金をもとに、事業者が不動産を購入・運用するサービスのこと。不動産を投資対象としていながら、月1万円程度で気軽に始められる点がメリットです。

投資家には出資額に応じて運用益の一部が分配されるため、少額投資だとリターンも大きくはありません。しかし、その分損失のリスクも抑えられます。自己資金に余裕がある場合なら購入口数を増やして、より大きなリターンを狙っていくのもよいでしょう。

さらに、不動産クラウドファンディングであれば、面倒な物件の維持・管理も不要です。すべて事業者に一任できるので、出資者がやるべきことはほとんどありません。分配金を受け取り、運用成績を随時チェックする程度で済みます。

まとめ

フルローンを利用すれば、自己資金が少なくても不動産投資にチャレンジできます。手持ちの資金を確保できたり、レバレッジを効かせられたり、さまざまなメリットがあるため、選択肢のひとつに入れておくべき方法といえるでしょう。

しかし、フルローンでは多額の借入れをおこなうため、高いリスクをともないます。頭金を入れる通常のローンと比べて、融資を受けにくい点にも注意しておかなければなりません。

そのため、特に投資初心者の場合は、まず不動産クラウドファンディングから始めることをおすすめします。不動産クラウドファンディングであれば、自己資金内で投資できるうえ、物件を管理する手間もかかりません。不動産投資に関心はあるものの、ローンを組みたくない人や時間がない人にはぴったりの方法です。

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