公務員が不動産投資をする際の条件や公務員が不動産投資に向いている理由を解説します。注意点やコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
公務員の副業は原則として禁止されています。しかし、不動産投資の場合は一定の条件を満たしていれば、公務員の方でも可能です。「実際にどんな条件があるのか」「もし副業がバレたらどうなるのだろう?」と気になる方も多いでしょう。
本記事では、公務員が不動産投資をする際の条件や公務員が不動産投資に向いている理由を解説します。注意点やコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
公務員が不動産投資をする際の3つの条件【申請不要】
まずは、公務員が不動産投資をする際の条件を3つ解説します。公務員であっても、以下の条件をすべて満たすケースであれば、特別な申請をしなくても不動産投資を始められます。
①5棟10室未満であること
②家賃収入が年間500万円未満であること
③管理業務を委託していること
ただし、条件を満たしていても、実際に認められるかどうかは状況によって異なります。必ず勤務先の自治体の規則を確認しましょう。
①5棟10室未満であること
公務員が不動産投資を行う際は、事業規模にならないようにしましょう。具体的には、一戸建て住宅は5棟未満、アパートやマンションなどの集合住宅は10室未満が目安です。
人事院規則では、副業とみなされる条件として以下の内容が記載されています。
- 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること
- 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること
引用:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)に運用について|人事院
所有する物件が5棟10室以上の規模になると、本格的な事業とみなされ、公務員法に抵触するおそれがあります。
②家賃収入が年間500万円未満であること
年間の家賃収入は、500万円未満に抑える必要があります。人事院規則では、家賃収入が500万円以上である場合、副業として取り扱う旨が記載されています。
- 不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
引用:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)に運用について|人事院
ただし、利益(経費を差し引いた手取り)ではなく、家賃収入で判断される点に注意が必要です。年間収支が赤字でも、家賃収入が500万円以上の場合は副業とみなされます。家賃や部屋数を調整して、収入が500万円以上にならないようにしましょう。
③管理業務を委託していること
公務員が不動産投資を行う際は、管理業務を専門の業者に委託しなければなりません。自ら管理業務を行うと、国家公務員法の「職務に専念する義務」に抵触する可能性があるからです。
また人事院規則では、不動産投資が認められる条件として以下のように記載されています。
- 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること
引用:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)に運用について|人事院
日々の業務に支障がないよう、不動産の管理業務は専門業者に依頼しましょう。
条件外でも申請すれば不動産投資が可能なケースも
条件を超えた規模であっても、申請をすれば不動産投資が認められるケースもあります。
たとえば、相続や生前贈与でアパートを受け継いだ場合や、転勤により今住んでいる自宅に住めなくなったときなどが該当します。このようにやむを得ないケースでは、上記の3つの条件以上の規模でも、申請をすれば不動産投資を認めてもらいやすいです。
条件以上の規模で不動産投資を行う際は、以下の書類が必要です。あわせて確認しておきましょう。
- 自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)
- 不動産の登記簿謄本や図面など
- 賃貸契約書の写し
- 管理委託契約書
自営兼業承認申請書の様式は、人事院の公式サイトからダウンロードできます。
公務員が不動産投資に向いている3つの理由
公務員は、その安定性と信用力から不動産投資に非常に適しています。ここでは、公務員が不動産投資に向いているとされる3つの理由をみていきましょう。
信用力が高く融資を受けやすい
公務員は安定した職業として高い信用力を持っているため、金融機関からの融資を受けやすい傾向があります。安定した収入と長期的な雇用保証により、審査を通過しやすく、低金利で大きな融資枠を得ることも可能です。
これらの条件は、不動産投資を始めるうえで大きなアドバンテージとなります。
本業が忙しくても取り組みやすい
公務員の場合は、不動産の管理を専門の管理会社に委託することが一般的です。そのため、本業に集中しながらも、不動産投資を行えます。
オーナー業務を賃貸管理のプロに任せることで、入居者への対応や物件の管理・維持などの業務に手間がかかりません。忙しい職務を抱える公務員にとっても取り組みやすく、副収入源として理想的といえます。
長期的な視点で投資計画を立てやすい
公務員のキャリアは比較的安定しており、収入も長期にわたって保証される傾向にあります。このため、将来の見通しを立てやすく、長期的な投資計画を立てるのに適しています。不動産投資では、長期にわたる収益が期待できるため、リタイア後の資産形成にも役立つでしょう。
公務員が不動産投資をするときの注意点
ここからは、公務員が不動産投資を行う際の注意点を解説します。実際に行動に移す前に、基本的なポイントをきちんと理解しておくことが大切です。
地方公務員の場合は各自治体の規則を確認する
地方公務員の場合は、自分が勤務する自治体の人事委員会規則を確認しましょう。国の人事院規則に準ずる場合がほとんどですが、自治体によっては独自の規則が設けられているケースがあるためです。
この確認を怠ると、不動産投資が副業禁止の規定に抵触し、免職や減給などの懲戒処分を受けるリスクがあります。
不動産所得の申告は必ず行う
給与以外に年間20万円を超える所得がある場合は、公務員も確定申告が必要です。不動産投資によって利益が出ている場合は、忘れずに確定申告を行いましょう。
なお、不動産所得が20万円以下の場合でも、確定申告はしておくことをおすすめします。不動産所得が赤字になった場合、給与所得と損益通算ができるため、その分だけ税金を減らせるメリットがあります。
公務員が不動産投資で成功するコツ
ここからは、公務員が不動産投資で成功するためのコツを3つご紹介します。不動産投資で成功を収めるためには事前準備が大切です。
物件選びの前に不動産投資について学ぶ
不動産投資を成功させるためには、まず基礎知識の習得が欠かせません。不動産の種類や収益の仕組み、リスクに関して知識を身につけることで、より賢い物件選びが可能になります。
関連書籍を読むだけでなく、不動産投資セミナーや勉強会への参加もおすすめです。実際の事例や専門家の意見を聞くことで、理論だけでなく実践的な知識も得られます。また、ほかの投資家とのネットワークを得る機会にもなるでしょう。
基礎知識を学んでから投資に臨むことで、無駄な失敗を減らし、成功への道を切り開けます。
無理のない資金計画を立てる
不動産投資において資金計画は非常に重要です。公務員は安定した収入があるため、融資を受けやすい傾向にありますが、その反面、借入れの額が大きくなりすぎると返済負担が重くなるリスクもあります。
魅力的な物件に出会っても、自身の財政状況と将来の収支計画を冷静に考慮し、無理のない範囲での投資を心がけましょう。万一の収入減少や家賃収入の下落に備え、余裕を持った借入額の設定が重要です。月々の返済額や総額、収益予測を事前にしっかり計算し、長期的な視点で安定した収入を目指しましょう。
リスクを理解して対策を講じる
不動産投資には空室リスクや自然災害リスクなど、さまざまなリスクが伴います。これらのリスクを正確に理解し、適切な対策を講じることが大切です。
たとえば、物件の立地や利回りだけでなく、空室リスクを事前に把握したり、自然災害のリスクが低い地域を選んだりすることが重要です。また、万が一の事態に備えるために、火災保険や地震保険への加入も不可欠です。
事前に対策を講じておけば、予期せぬ事態にも柔軟に対応でき、長期的に安定した投資を行いやすくなります。リスク管理は不動産投資で成功するためには欠かせない要素です。
公務員の不動産投資に関するよくある質問
公務員の不動産投資に関するよくある質問をまとめました。
許可なしの不動産投資がバレるとどうなる?
許可なしの不動産投資が発覚すると、副業禁止規定違反とみなされ、免職や停職、減給などの懲戒処分の対象となる可能性があります。
「所有する不動産が5棟10室以上ある」「不動産収入が500万円を超える」など規定以上の条件で、不動産投資を行う際は申請が必要です。必要な許可は必ず取っておきましょう。
申請が不要な規模であっても、念のため人事担当者に相談しておくと安心です。
公務員がカモにされやすいのは本当?
公務員は安定した収入と高い信用力から、低金利での融資を受けやすい立場にあります。このため、不動産会社から高額な物件の購入をすすめられることが少なくありません。
営業の言葉をうのみにせず、冷静に判断することが大切です。不動産投資でカモにされないためにも、関連書籍やセミナーなどを活用して、知識を身につけましょう。
公務員におすすめな不動産投資3選
最後に、公務員におすすめの不動産投資を3つ紹介します。現物不動産以外の投資についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングは、インターネットを通じて投資家から集めた資金をもとに不動産投資を行い、得られた収益を出資金額に応じて分配するサービスです。
1口1万円と少額から投資ができるため、初心者でも気軽に不動産投資を始められます。また物件の管理や運用は事業者に任せられるため、手間がかからない点も魅力です。
「匿名組合型」の不動産クラウドファンディングであれば、資産形成とみなされ、副業扱いになりません。そのため、公務員でも参加が可能です。公務員で不動産投資に興味がある人は、不動産クラウドファンディングを検討してみてはいかがでしょうか。
REIT(不動産投資信託)
リートは投資信託の一種で、複数の投資家から集めた資金で不動産を取得・運用し、その収益を投資家に分配する金融商品です。投資信託は資産形成とみなされるため、公務員の副業禁止規定に抵触しません。
リートの魅力には、数万円〜数十万円ほどの金額から投資を始められる点や、証券口座で売買できるため換金性が高い点などが挙げられます。
ただし、リートはインサイダー取引の規制対象になるため、職種によっては注意が必要です。株式と同様、未公表の重要事実を利用して取引を行うと、インサイダー取引とみなされ、処罰の対象になります。本業に関連する業種や会社が投資対象になっている商品は、避けるようにしましょう。
ワンルームマンション投資
ワンルームマンション投資は、分譲マンションを一室単位で購入し、賃貸物件として運用する不動産投資です。数室規模のワンルームマンション投資であれば、副業規定に抵触する心配は少ないでしょう。
また、ワンルームマンション投資のメリットとして、一棟所有に比べて初期費用が少なく、空室リスクも低いため、大きなリスクを避けつつ投資を始められる点が挙げられます。
一棟所有に比べると大きなリターンは見込めないものの、物件に使える自己資金が少ない方や長期的な資産形成を目指している方、ローリスク・ローリターンの投資を重視する方は、ワンルームマンション投資がおすすめです。
まとめ
この記事では、公務員が不動産投資を行う条件や注意点、コツについて詳しく解説しました。
公務員でも「5棟10室未満の規模であること」「年間家賃収入は500万円未満であること」「管理業務を委託すること」など、特定の条件を満たせば不動産投資が可能です。また条件以上の規模の場合でも、相続や転勤など特別な事情があるケースでは、申請をすれば投資が認められることもあります。
公務員は信用力が高く、安定した収入があるため、不動産投資との相性がよいとされます。
とはいえ、不動産投資を始めるためにローンを組むのは抵抗がある、リスクが気になるという方は、少額から始められる不動産クラウドファンディングも視野に入れてみてください。
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