投資信託はやめとけといわれる理由やおすすめしない人の特徴、投資信託を始める際に確認すべきポイントを紹介します。また、初心者向けの制度や投資の選択肢を広げるための情報もお伝えします。
投資信託は投資初心者にもよく選ばれている投資のひとつですが、一方で「おすすめできない」「やめとけ」といわれることもあります。実は投資信託にも、初心者に不向きな商品があり、また経済状況や目指す目標によって、おすすめできないケースがあるのです。
この記事では、投資信託はやめとけといわれる理由やおすすめしない人の特徴、投資信託を始める際に確認すべきポイントを紹介します。また、初心者向けの制度や投資の選択肢を広げるための情報もお伝えします。
目次
投資信託とは?
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券、不動産などに投資・運用する金融商品です。その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みです。
投資信託の最大のメリットは、少額の資金で分散投資ができることです。投資信託は、1万円程度から購入できるものもあり、株式や債券などの個別銘柄への投資と比べて、少額から始められます。また、商品を選ぶ必要はあるものの、専門家が運用するため、購入後は手間がかからない点も魅力です。
投資信託には、NISAやiDeCoなどの非課税制度の対象となる商品もあり、投資初心者から経験者まで幅広い層に選ばれています。
【結論】投資信託には初心者におすすめしない商品もある
投資信託は、少額から始められる、分散投資ができるなど、初心者でも始めやすい投資です。しかし、一口に投資信託といってもファンドの数は2023年1月時点で5,900近くあり、種類もインデックス型やアクティブ型などさまざまな商品が存在します。なかには、手数料が高いものやハイリスクなものなど、初心者には不向きな商品もあるため注意が必要です。
初心者の場合は「投資信託はおすすめしない」「やめとけ」といわれる理由を理解したうえで、自分にあった商品を見極めることが大切です。自分の資産状況や知識、リスク許容度などと照らし合わせて慎重に選ぶ必要があるといえます。
投資信託はおすすめしないといわれる理由
投資信託には多くのメリットがありますが、気を付けておきたい点もいくつか存在します。ここでは、投資信託をおすすめしないといわれる理由を3つみていきましょう。
株式投資よりも運用コストがかかる
投資信託のデメリットは、株式投資に比べて運用コストが高い点です。このコストとは、購入時手数料や信託報酬、信託財産留保額などで、とくに信託報酬は高いものだと年率1%以上取られることもあります。対して、株式投資では手数料が無料のところも増えており、手数料を抑えながら投資が可能です。
投資信託を始める際は、事前に目論見書(投資判断に必要な重要事項が記載された書類)で運用コストがいくらかかるのか確認しましょう。
元本保証はされていない
預金に比べて利回りがよいイメージがある投資信託ですが、元本保証がないというリスクも理解しておく必要があります。つまり、投資した資金が減る可能性があるということです。
投資信託は、基準価格が日々変動する金融商品です。金融ショックなどが起こると、購入時よりも価格が大幅に下がる場合もあります。元本割れのリスクはどんな投資にもあり、投資信託であっても損をする可能性はゼロではありません。
短期間で大きな利益は狙えない
投資信託は長期の運用を前提として設計されており、短期で大きな利益を得ることは困難です。投資信託は、複数の銘柄を組み合わせた分散投資を行うため、全体のリスクを抑える効果があります。一方で、リターンは小さくなる傾向があります。
そのため、短期間で大きな利益を期待する人には向かない商品といえるでしょう。
投資信託をおすすめしない人の特徴
投資信託をおすすめしない人の特徴には、以下のようなものがあります。
貯金がない人
投資するには、それなりの資金が必要です。生活費など何もかもギリギリの状態であれば、投資を始めても途中で資金が足りなくなってしまうおそれがあります。
月収の6ヶ月~1年分ほどの余裕資金がない方は、資産を増やす手段として投資を考える前に、まずは貯金を増やすことから始めてみてください。
短期的にお金を増やしたい人
前述の通り、投資信託は長期的な運用を前提としています。分散投資の性質上、価格の変動が小さいため、短期的にお金を増やしたい方には向いていません。
短期間で大きな利益を目指す場合は、個別株やFX(外国為替証拠金取引)などの投資が適しています。ただし、ハイリターンを狙える投資はその分リスクも高くなりがちなため、自身のリスク許容度に合わせて行いましょう。
投資先を自分で選びたい人
投資信託は、専門家が銘柄を選定し運用するので、自分で個別の投資先を選ぶことはできません。
そのため、自分で投資先を選びたい方や購入したい株が決まっている方は、自己判断で売買できる株式投資が向いているでしょう。自分で分析して好きなタイミングで売買できるので、投資の経験を積みたい人にもおすすめです。
投資信託で失敗しないために確認すべきポイント
投資信託にはリスクやデメリットがあるものの、気を付けるべき点をおさえておけば効率的な資産運用も可能です。ここからは、投資信託で失敗しないための4つのポイントを解説します。
投資信託の目的と目標金額を明確にする
資産運用を始める前に、自分の投資目的と目標金額を明確にすることが大切です。周りがやっているからなんとなく始めてみるのではなく、何のためにどのくらいの額が必要なのかを明確にしましょう。
住宅の購入資金や子どもの教育費、老後の生活費など投資の目的は人それぞれです。目的や目標金額が明確になれば、毎月いくら積み立てていけばよいか、必要な利回りは何%なのかをイメージしやすくなるため、具体的な計画を立てやすくなります。
初心者に不向きな投資信託は避ける
投資信託にもさまざまな種類があり、なかには初心者に不向きなものもあります。たとえば、初期投資が高額なファンドラップや、リスクが高く手数料も高いアクティブファンドやテーマ型ファンドなどは初心者に不向きです。リターンだけをみて投資を始めると、大きな損失を被ってしまいかねません。
無理にハイリスクな商品に手を出すよりも、自分が理解できて、リスク許容内で投資できる商品を選ぶことが大切です。
手数料(信託報酬)の高いものは選ばない
手数料が高いほど得られるリターンが少なくなるため、手数料が高い商品は避けたほうが無難です。具体的には、信託報酬が年率1%以上に設定されているものは選ばないようにしましょう。
手数料を抑えて投資信託を行うなら、アクティブファンドよりもインデックスファンドがおすすめです。アクティブファンドの信託報酬は年率1%以上のものが多いのに対し、インデックスファンドなら年率0.1~0.2%程度で済みます。手数料の差は長期で運用するほど影響してくるため、必ず確認しておきましょう。
アクティブファンドとインデックスファンドの違いは後述しているので、あわせて参考にしてください。
ファンドの純資産総額と運用実績を確認する
投資信託を選ぶ際には、ファンドの純資産総額を確認することも大切です。純資産総額は組み入れられている株式や債券の時価総額のことで、ファンドの規模を示します。
単に純資産総額が多いからよいというわけではないものの、一定以上の純資産総額がないと「ファンドの運用が終了する」「元本割れが発生する」などの可能性があります。運用の歴史や状況を判断するためにも、過去の運用実績とあわせて確認しておきましょう。
投資信託初心者はつみたてNISAかiDeCoを活用しよう
投資信託初心者には、つみたてNISAやiDeCoもおすすめです。投資によって得られた利益には税金が発生しますが、つみたてNISAやiDeCoを活用すれば非課税になります。
それぞれの特徴や違いをおさえておきましょう。
つみたてNISA | iDeCo | |
対象年齢 | 18歳以上 | 20歳以上 原則60歳未満(条件を満たせば65歳未満まで可) |
非課税期間 | 20年間 | 原則60歳まで |
非課税枠(年間) | 40万円 | 職業によって異なる |
節税メリット | 運用益は非課税 | 運用益は非課税掛金は所得控除受取時も一定額まで非課税 |
払い出し | 制限なし | 原則60歳まで不可 |
つみたてNISAの特徴
つみたてNISAは、長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。毎月小額から積み立てられることが特徴で、年間40万円まで最長20年間非課税で運用できます。
長期・積立・分散投資に適した投資信託のみが対象となっているため、投資に興味があるけれど何から始めればよいかわからないという方に最適です。
ただし、つみたてNISAは2023年までの制度のため、投資信託を購入できるのは2023年までです。2024年から開始する新しいNISA制度の「つみたて投資枠」では、年間120万円まで、非課税期間は無期限に拡大されています。あわせてチェックしておきましょう。
iDeCoの特徴
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金に上乗せできる年金制度です。投資信託をはじめ自分で選んだ商品で掛金を運用し、老後に備えて資産形成ができます。
運用益が非課税になるほか、掛金は全額所得控除となります。また受取時には、一定額まで非課税になるメリットもあります。
ただし、iDeCoの場合、原則60歳まで資産を引き出せません。長期間、資金がロックされることになるため、始めるタイミングは慎重に検討しましょう。
投資信託に関するよくある質問
投資信託に関するよくある質問をまとめました。
投資信託で損する確率はどのくらい?
投資信託におけるリスクは、投資期間によって異なります。金融庁の資料によると、1989年以降に毎月一定額を積み立て、5年間保有した場合と20年間保有した場合とでは、元本割れが生じる割合が大きく異なりました。
5年間保有した場合は、投資を始めたタイミングによっては元本割れが発生する場合があり、その割合は10%程です。対して、20年間保有した場合はどの時点から始めても、元本割れとなったケースはみられませんでした。
これはあくまでも過去の結果であり、将来の成果を保証するものではありませんが、投資信託を始める際の判断材料のひとつになるでしょう。
インデックスファンドとアクティブファンドの違いは?
インデックスファンドとアクティブファンドの違いは、運用方針にあります。
インデックスファンドは、特定の指数に連動することを目標に運用される投資信託です。たとえば、日経平均株価に連動するインデックスファンドを購入すると、日経平均株価の動きに連動した運用成果が期待できます。
一方、アクティブファンドは、特定の指数を上回る運用成績を獲得することを目標に運用される投資信託です。専門家が独自の投資判断に基づいて、株式や債券などの資産を組み合わせて運用を行います。
インデックスファンドとアクティブファンドの主な違いは、以下の通りです。
インデックスファンド | アクティブファンド | |
運用方針 | 日経平均株価やNYダウなど特定の指数に連動する | 特定の指数を上回る運用を目指す |
信託報酬(年率) | 0.1~0.2% | 1%以上のものが多い |
リスク | 比較的低い | 比較的高い |
リターン | 指数に連動するため大きなリターンは得られにくい | 大きなリターンを得られる可能性がある |
インデックスファンドは、手数料が低く、リスクが低いというメリットがあります。そのため、長期的な資産運用を目指したい方におすすめです。
アクティブファンドは、特定の指数を上回る運用を目指して設計されているため、高いリターンを狙いたい方に向いています。ただし、インデックスファンドに比べて手数料が高く、リスクが高いというデメリットもあります。
自分に合った投資信託を選ぶためには、インデックスファンドとアクティブファンドの違いを理解しておくことが大切です。
投資の選択肢を広げるなら不動産クラウドファンディングもおすすめ
投資信託以外にも資産運用の選択肢を増やすことを考えているなら、不動産クラウドファンディングという手もあります。
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて多くの投資家から資金を募り、その資金で不動産投資を行う投資手法です。不動産投資のハードルが高いと感じている方でも、少額から手軽に参加でき、資産運用の幅を広げられます。
また投資信託の場合、投資期間は10年、20年に及ぶこともありますが、不動産クラウドファンディングは投資期間が比較的短く、数ヶ月から長くても数年程度です。
長期間の投資には資金を長く固定するハードルがあるうえ、市場の変動によるリスクも存在します。不動産クラウドファンディングは、少ない資金で短期間の投資が可能なため、時間をかけずに安定したリターンを得たい方にとって、魅力的な選択肢といえるでしょう。
まとめ
本記事では投資信託の基礎知識から、おすすめしないといわれる理由、確認すべきポイントまで詳しく解説しました。
株式投資よりも運用コストがかかる点や元本割れのリスク、短期間での大きな利益が見込めない点など、投資信託が一概にすべての人に推奨できるものではないことを理解していただけたかと思います。
そのうえで、投資信託に挑戦する際には目的と目標金額を明確にし、信託報酬やファンドの純資産総額、運用実績などもしっかりとチェックすることが重要です。初心者は、つみたてNISAやiDeCoなどの制度の活用も検討するとよいでしょう。
また、不動産クラウドファンディングという選択肢もあります。不動産クラウドファンディングを始めるなら、1口1万円から投資ができる「不動産BANK」がおすすめです。運用はすべて事業者に任せられるうえ、損失リスクを軽減するシステムを採用しているため、安定したリターンが期待できる点が大きな魅力です。
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